月曜日, 6月 10

ドルアーガの塔 FLOOR.25

【FLOOR.25】
モンスター①オーク(技量ポイント:12、体力ポイント:10)
②ブラックエルフ2匹(技量ポイント:7、体力ポイント:6)※
③ケンタウルス2匹(技量ポイント:11、体力ポイント:8)
宝物①金貨30枚
②MAGNOの呪文(相手の魔力を封じる)
③NARROの呪文(ファイヤーボール)
④原体力ポイント3ポイント上昇
⑤レッドアミュレット(影の兵士を消滅させる)
⑥ドラゴンポット(ドラゴンを一撃で倒せる)※
⑦黄金の短剣(金貨400枚の価値)※
⑧金貨40枚
⑨薬草酒(体力ポイントを10ポイント回復)
⑩リアフェール(ドラゴンを追い払える)
⑪エレベーターの使用権(エレベーターを使用可能)
出現方法①「船」に乗って、与えられた任務をこなす(ただし、正体がバレた場合は無効)。
または「船」を乗っ取って女人族の都に降りた後、褒美として「ガラソン」を要求する※
②③「船」でノームの集落に行き、傷ついたノームを救ける(ポーションが必要)
④オークを倒す
⑤「船」を乗っ取って女人族の都に降りる(リメイク版の場合は、その後に褒美として「ドルアーガを倒す方法」もしくは「金」を要求する)
⑥「船」を乗っ取って女人族の都に降りた後、褒美として「ドルアーガを倒す方法」を要求する
⑦「船」を乗っ取って女人族の都に降りた後、褒美として「金」を要求する
⑧正体に気づいたブラックエルフを倒す
⑨ブラックエルフが、正体に気づかなければもらえる
⑩ケンタウルスを倒す
⑪案内人のノームに、金貨10枚を払う
階移動①南階段⇔23,24階
②北階段⇔26,27,28階
③エレベーター⇔21,28階※※
※リメイク版のみ
※※使い方を知っている必要あり

いよいよ、本作を語るうえで最も特徴的な存在のひとつである「船」が登場。まぁ、もうひとつのゲームブックに──ウソ予告として──描かれていたドルアガドンやらドルナイトやらの方が(悪い意味での)インパクトは大きかったし、後年に制作されることになったMMORPG版や、それをベースにしたアニメ版などの影響もあって、もはや“本来のドルアーガの塔のイメージ”なんてものに拘わるのも虚しいような気がするけど、それでも当時、これを初めて見た時の衝撃は大きかった。

さて、それでは「船」関連のイベントについて語る前に、まず状況を整理しておこう。「船」の発着場は重要な施設であるが故に、この25階にはエレベーターの乗り場があるワケだが、これを利用する際に、金貨10枚を払わずに済ませる方法がある。
ちょっと面倒だが、そのまま案内人のノームを通り過ぎて北に向かい、階段を28階まで上ったら、西→南→南のドアを開ける→北のドア(右側)を開ける→北→東→東に逃げる→南…という順で進む。するとエレベーターが無人状態で停止しており、なぜか(←28階の記述を読む限りではバグじゃなく、飽くまで作者の意図に基づく裏技っぽいけど)タダで利用できるようになるのだ。
まぁ旧版なら、こんな手間をかけずに(恐らくは「船」の連中に捕えられて、奴隷として働かされているのであろう)ノームに金貨10枚ぐらい払ってやってもいいだろうと思うのだが、リメイク版で節約プレイに徹している場合は、その程度の振る舞いも贅沢だというのが実状なんだよね。

で、そんな節約プレイを行なう究極の目的──すなわちアルカニウム鉱を購入するためには、一体いくら稼がなければならないのか、ここで改めて計算してみよう。
21階で不要な武器を売り払った時点での所持金が、金貨158枚になることは以前に述べた。その後、22階では金貨30枚を持つドルイドを2回倒して、218枚。23階ではダークグリーンスライムの持つ20枚と宝箱の中身である90枚を加え、328枚。24階では安全策を採って、黒竜の牙アイアンゴーレムを倒し、差し引き10枚をプラスして338枚。さらに、26階では霧の精霊からフルートと引き換えに金貨100枚を得られるので、合計438枚となる。
つまり、金貨500枚のアルカニウム鉱を手に入れるためには、あと金貨62枚が必要…って、意外と少ないな。これなら何とかなりそうだ。もちろん、これは他に何も買わないという前提に基づいた最低限の額であり、実際には(無傷というわけに行かないだろうし、第1巻から持ち越した分だけでは足りない場合の)ポーションの購入費などを含めて、もう少し余裕が欲しいところだが。

目標となる金額が判明したところで、いよいよ「船」関連のイベントについて見ていこう。とりあえず──クリアする上で不可欠なアイテムは存在しないものの──敢えて優先順位をつけるなら、一番おいしいのが「3」の目であることに議論の余地はあるまい。オークを倒すことで、原体力ポイントが3ポイント上昇する奇跡を得られるワケだが、体力はいくらあっても困ることは無いし、とくにドルアーガとガチンコ対決する場合などを考えると、これでも足りないか不安なぐらいだ。
問題点としては、1/2の確率で他の連中に戦闘を目撃されてしまい、さらに運が悪ければ(=確率3分の1)「船」に置き去りにされて第1巻からやり直す羽目になるリスクがあること。まぁ、この「第1巻からやり直し」というのは──ソーサリーシリーズにおいて、中途半端な知識でZEDの呪文を唱えた結果、それまでの冒険の途中に飛ばされるのと同じで──おそらく作者も、プレイヤーが本気で実行するとは思っていないだろう…ルールが曖昧すぎるし(←パラメータやアイテムは保持されるのか、それとも初期化するのか? 前者の場合、さまざまな矛盾や混乱が生じるであろうことは、容易に想像される)。あるいは、原作におけるZAPの概念を持ち込もうとした…という可能性も考えられるか。
なお正体がバレずに済んだならば、日当として金貨30枚が支給されるのだが、これも確率の問題があるので、攻略の目算を立てにくいのが困ったところ。
オークについては、元ネタであるボードゲーム版ではデーモン系5階クラスに位置しており、同じデーモン系で4階クラスのバンパイヤよりも少し強いという、本作での設定は妥当と言えるだろう。ちなみにカイの冒険においては、両者は同格の扱いだそうで(←ゲームブック版では、互いをライバル視し合っている描写があったな)。
しかし謎なのは、ボードゲーム版において“ORGLE”という意味不明な名前になっていること…たぶん人食い鬼のOGREが混じっているのだと思われる。それにしてもOGREは、“オグル”やら“オグレ”などの間違った発音をされたり、ハイドライドIIでは“ORGE”と誤表記されたり、いろいろと不遇きわまりない気がするぞ(笑)。
それとは無関係だが、作中での扱いの悪さにも同情したくなる…体力や技量ポイントを見るかぎりでは鬼族の中でも最強のはずなのに、頭が悪いためかホブゴブリンよりも格下(←「船」でも隊長役はホブゴブリンで、オークのほうは下っ端)みたいだし。
あと、ボードゲーム版では武器としてトライデントを所持していたはずだが、本作のオークは挿絵において、棍棒を振り上げていたりする…まぁ他にもゴブリンが鎌を持っていたり、サラマンダーが口から火を噴いていたりと、ボードゲーム版ゲームブック版では異なっている部分も多いから、騒ぐほどの事でも無いか。
ところで、ゲームブック版の挿絵でオークが持っている盾には、手のような紋様が描かれているんだけど、これは指輪物語においてサルーマン配下のオークたち(ウルク・ハイ)が盾に描いていた“白い手”の紋様のオマージュなのか、それとも単なる偶然? でも旧版において、しばしば“オーク鬼”という表記が見られた(←リメイク版では、普通に“オーク”と修正されていたが)事と併せて考えると、作者が指輪物語を愛好している可能性は、かなり高いのではないかと憶測。

その次に狙いたいイベントは──ちょっと意外だが──「5」のブラックエルフの村だったりする…すごいアイテムが手に入るとかでは無いんだけど、じつは、ひそかにメリットが大きい(その割にデメリットは少ない)んだよね。
ここでも確率2分の1で正体バレ判定を行なうことになるワケだが、まず正体に気づかれず済んだ場合は、薬草酒によって体力を10ポイント回復できる。これはブルーポーション1本分の回復量に相当するため、金貨30枚の価値があると見なして良いだろう…ただしポーションと違って持ち越すことは不可能なので、その時点で10ポイント以上のダメージを受けている必要がある。これを飲めることを期待して、ダメージを回復しないまま「船」に乗り込んだところ、アテが外れてオークケンタウルスと戦う羽目になり死亡…などという間抜けなオチを迎えたら笑えないな。
逆に正体がバレてしまった場合も、さすがに技量ポイント7の相手に2回も攻撃を失敗するほど不運が連続するとは思えないので、ブラックエルフの持っている金貨40枚を頂戴できるチャンスと前向きに捉えるべきだろう。最悪、口封じに失敗しても最後の置き去り判定で、3分の2の確率で「船」に戻れるわけだし(←この場合、日当の金貨30枚をもらい損ねることになるけど、仕方あるまい)。
そんなわけで、最低でも日当分の金貨30枚、さらにうまく行けば金貨40枚が追加で得られる(=これだけで、アルカニウム鉱の購入に必要な金貨62枚を上回る)、じつに美味しいイベントと言えよう。

3番目に来るのは、「2」の目で訪れることになるノームの集落だろうか。選択肢を誤って逃げ出さない限り、確実に日当の金貨30枚を得られるし、置き去りにされるリスクも生じない。ノームを救うにはポーションを1本飲ませてやる必要があるけど、これは日当分の金貨30枚で補填すれば、差し引きで損はしていない事になる…まぁ何よりも、いかに資金繰りが厳しいとはいえ見殺しにするのは寝覚めが悪いし(←これがワルキューレの冒険だったら、魅力ポイントの暴落は避けられまい)。
ノームがお礼に教えてくれる2つの呪文は、34階でメスロンから教えてもらえるし、それ以前の場面では有効な使い道が少ないので、このイベントを積極的に狙いに行く動機としては、いささか弱いんだよね…MAGNOについては30階で述べるとして、NARROのほうは、とにかく命中率にムラがあり過ぎるため、成功するという前提で攻略を考えるわけには行かないというのが痛い。まぁリメイク版では、新たにミノタウルス戦でも使用できるようになって、うまく命中すれば長ったらしい戦闘を短縮できるのは有り難いんだけどさ。

最もメリットが少ないと思われるのが、「6」の目で戦うことになるケンタウルス。置き去りにされるリスクなどは無いものの、2体を相手に戦えば無傷で済ませるのは難しいだろうし、そうなると、せっかく日当として得られた金貨30枚も、傷を治すための費用として消えてしまう可能性が高い。
他にはリアフェールもゲットできるけど、あまり慰めにならない…シルバードラゴンとの戦いを回避したいのであれば、そもそも27階には近づかないのが最善なワケだし。

そして最後は「4」の目、女人族の都について。まず触れておかなければならないのが、ここで与えられるレッドアミュレットの効用である。これは38階において、影の兵士たちを瞬時に全滅させる威力があるのだが、その際に得られる経験値は皆無であるため、第2巻をクリアするまでに経験値を30に上げるのが、非常に面倒くさいことになるのだ…なので、旧版なら迷わず「荷物室に隠れる」を選ぶのが無難。
しかし選択肢と獲得アイテムを追加されたリメイク版では、少し事情が異なる。とりあえずアルカニウム鉱の購入を最優先するなら、船を乗っ取ったうえで「金が欲しい」を選択すれば、金貨400枚の価値がある黄金の短剣をもらえるので、一気に資金不足の悩みから解放されるはず…ただし、おまけとしてレッドアミュレットも押し付けられるので、後半戦で苦労することになるだろう。
またドルアーガを倒す方法を尋ねた場合は、リメイク版の新アイテムであるドラゴンポットを与えられる。これはドラゴンを相手にする際には頼もしい効果を発揮するのだが、もっと簡単で確実な方法(=戦闘そのものを避ける)が存在するうえに、これまたレッドアミュレットが抱き合わせで付いてくるため、これを選ぶのも賢明とは言い難い。
というわけで、女人族と険悪な雰囲気となるため一見すると間違いに思える選択肢…すなわち「ガラソン」が欲しいと答えるのが、一番マシな結末を迎えることができる。せっかくリメイクに際して加筆修正が行われたにも拘わらず、けっきょく得られるのは(他のイベントなら日当分に等しい)金貨30枚だけというのも割に合わない話という気がするけど、まぁダメージを受けたり置き去りにされるリスクが無いだけ、まだ良いという見方もできるか。

…と、以上を踏まえたうえで攻略の方針を考えるワケだが、なにぶん「船」の行き先がサイコロの目に左右されるため、すべて仮定の話になってしまう。
それを承知で語るなら、とりあえず大半のイベントで得られる金貨は30枚であり、アルカニウム鉱を購入するのに不足している金貨が62枚なので、最低でも3つのイベントを消化しなければならない…ということが分かる。ただしブラックエルフは例外で、運が良ければ上述のように金貨40枚を追加で獲得できるため、このイベントひとつで条件を満たせてしまうのだが。
逆にオークとの戦いでは、正体がバレて日当をもらい損ねる可能性があり、そうなると更にもうひとつイベントを消化しなければならず、それだけ墜落のリスクが高まることになる。とくにリメイク版では「一度でも行った場所には、もう一度行くことができない」という縛りが加わったせいで、墜落リスクはイベントを消化するごとに急上昇していく。ゆえに、なるべく少ないイベント数で切り上げたいところなのだが、もし“所持金は十分に貯まったものの、まだ原体力ポイント上昇のイベントが来ない”といった状況に陥った場合は、激しく悩むことになるだろう。

以前にも記したが、このように墜落したり置き去りにされてゲームオーバーになるリスクを排除できない以上、そういった最悪の事態を想定したうえで、なるべく損失を軽減させるためには、余計なことは全て後回しにするしかない。
経験値の制限があって最優先するしかない一部の戦闘を除き、ほかのイベントは全て放置して25階を目指し、「船」で必要な額の金貨を稼ぐのだ。もし途中で墜落もしくは置き去りにされて最初からやり直すことになったとしても、ほかのイベントに関わらなかった分だけ、時間的なロスは少なくて済む。

ところで、ここで稼がねばならない金貨は62枚なのに対し、実際に手に入るのは30枚単位であるから、達成時には90枚となる可能性が高い…つまり、差し引きで28枚の余りが生じるワケだ。このうち、30階の酒場における飲み代として6枚を確保すると、残りは22枚となる。
とりあえず比較的マシな使い道として思いつくのは、18階でグリーンアミュレットを売却しないでおく(=金貨5枚のマイナス)ぐらいか。そうして29階で僧衣をゲットすれば、30階の魔術師会議での対応も安定するし、フクロウのマスクも確実に入手できる(あまり役に立たないが)。あとはイラニスタンの油を1本だけ買っておき、29階で包囲された時に使えば、無駄にダメージを受けなくて済むな。
あるいは体力ポイントの消耗が激しくて、第1巻から持ち越したポーションや食事だけでは回復が追いつかず、泣く泣く21階でポーションを追加購入することに…というケースも考えられそうだ。こうなると、足りなくなった資金を補充するために「船」のイベントをもうひとつ消化するというリスクを冒すしかないワケで、やはり状況に応じて臨機応変に…としか言いようがないか。

最後に「船」の描かれた挿絵について。どうしても見た目は宮崎メカっぽく思えてしまうのだが、果たしてインスパイアされたものなのかどうか…? ちなみに旧版が発売されたのは1986年10月31日(←奥付を参照)で、天空の城ラピュタが上映されたのは同年の8月2日からだったりする。
それにしても当時は、ひそかにローパーが描かれていることには気がつかなかったな(←旧版を貸した友人が気づいて、返す時に教えてくれた)。しかも律儀に、乗り込もうとする連中の行列に並んでいるぞ(笑)…ということは、あんな姿だけど実は知性を有しているのかね? 一種の搭載兵器のような扱い(=現地に着いたら、適当に放して暴れさせるだけ)ではなく、ほかの狂戦士たちと同等の存在であり、ケンタウルスの集落に対して包囲戦を仕掛けた時なども、きちんと作戦に従って行動したとか。
そう言えば、ボードゲーム版でもマジシャン系に分類されていたっけ…って、あれは明らかに各グループの人数を調整するための処置だろうけどさ(笑)。第3巻で戦った際の記述を読むかぎりでは、知性があるとは思えないし。

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