土曜日, 12月 11

ニュータイプ1月号

今月の◎はイカ娘。的確な評価・分析を行なっていると賞賛したいところだが、ケロロを売る立場であるはずの角川の雑誌が、こんなに手放しで褒めていいのかよって気もするぞ(笑)。

表紙&巻頭特集はSTAR DRIVER。エヴァのように、謎設定を(作品の魅力の一つとして)前面に押し立てる構成になっていないし、そもそもそんなに入れ込んで見るほど面白いとは思えなかったから、適当に流し見するだけで、詳しい設定やら伏線やらは頭に入ってなかった。
だから、こういう記事(文章)で改めて提示されると「ああ、スターソードが12本というのは誕生石だな」とか「サイバディって全部で22体なのね。22といえばタロットだろうか?」など、やっと頭で考えることができて助かる…検索してみると、22についてはフェニキア文字が正解だったけどな(苦笑)。
まぁしかし設定としての“正解”は存在するものの、実際にはストーリーとキャラの動きを優先した作りにするらしい(←こういうこと言って、実際は何も考えず適当に作った挙げ句に破綻させる馬鹿スタッフもいるが、五十嵐&榎戸なら大丈夫だろう…たぶん)ので、あまり深く考察するタイプの作品でもないのかね。

年末の号ということもあってか、“来年の期待の新作紹介”と“今年の人気作品プレイバック”に挟まれて、いま放送中の作品の扱いが悪くなってしまっている印象なのは、アニメディアと同様のような…。
今年の人気ランキングに関しては、作品部門では当然けいおんがトップで、女性キャラ部門でも唯&澪がツートップ。ただし長門、天使、綾波などが食い込んでけいおん勢の独走態勢とならなかったあたりはニュータイプらしいと言えるか。
さらにNTらしいのが男性部門で、こちらはキョンの圧勝(笑)。他誌と異なり女性読者が少数派であることから腐女子系作品のキャラが伸び悩み、圧倒的多数派である男性読者の票が特定作品の数少ない男性キャラ(←別にキャラ自体が好きなのではなく、単なる作品への支持票)に集中した結果だろうな…ABの主人公も上位に居たし。
けれどもシンジが下位にとどまっていたことから考えると、よく言われる“角川補正”については、騒がれるほど大きくないのかも? そして最大の問題は、(劇場版とはいえ)現役タイトルの主人公であるはずの刹那が、キラに後れを取ったこと。まだまだSEED人気が根強いのか、ダブルオーが不甲斐ないだけか。なおルルーシュも今だに2位を確保しており、こちらもSEEDと同じコースを辿る予感がしてきたぞ。

さすがに通常のランキング(今月分に限定)の方では、現在放送中の作品が優勢であり、俺妹やそらおと2期など、秋クール作品のキャラも上位に顔を見せ始めている。とはいえ女性部門でイカロスが1位というのは、角川補正の匂いがプンプンするな。
作品レベルの人気なら、明らかに(宣伝込みで)俺妹のほうが上だろうし。男性部門で(ライバルが少ないとはいえ)上条さんを押し退けて、京介がトップを取ってることから見ても間違いないはず。
しかし女性部門で桐乃だけランクイン(3位)というのは、ABの放送開始直後、ゆりが天使を凌駕してトップにランクインした時のような違和感があるな…またまたヲタの嗜好を読み誤った見当違いの捏造だったりして(←言うまでもないが、2010年ランキングにおいて上位に名を連ねていたのは、天使のほうである)。まぁ今回の集計の時点では、まだ黒猫が本気を出してなかったという事かも知れないけどさ。
そして今月の◎で扱っておいて、イカ娘の名前が見えないのもどうかと…あれこそキャラ人気に依存している作品の筆頭だろうに。

どちらのランキングにも、腐女子受けする男性キャラがあまり見られないのは、NTは伝統的に女性読者の割合が少ないから…と思っていたんだが、じつは付録──薄桜鬼&黒執事ピンナップ、およびオトメタイプなる別冊──のほうに隔離されていたのが真相でした。
ネットにおけるオタク男女の激しい対立を見るに、両方にいい顔した誌面構成というのはあまり望まれていない気もするんだけど、主要3誌(総合誌)の一角という立場上、建て前でも男女両方の読者に配慮することを心がけなければならないのかね?

今月号で最も読みごたえがあったのは新房×水島対談。イカ娘を作ってる会社(ディオメディア)が、シャフトの分家にあたるという縁らしい。
両者とも若い頃は、やたら画面を動かすなど、つい余計な手を加えたくなる衝動に駆られていたとか…まぁ気持ちは分かる。誰もが若い頃にたどる道なんだろうな。
しかし、そんな新房も今では「原作のカットには絶対かなわない」と述べるなど、原作通り(←by絶望先生)を歩むことが最良と悟ったようだ。
新房は業界入りしたころ仕事が少なく、ゲーセンに入り浸ってバーガータイムをプレイしまくっていたら、最初に就職したスタジオをクビになった──なぜ、よりによってバーガータイムなんだよ!?(笑)──という意外な武勇伝を聞いて、ちょっと親近感が増した。
一方の水島は、ギャグをインフレさせていくと「イカ娘がかわいい」という原点を見失ってしまうので、そこは注意してコメディに徹するよう心がけているとの事。
なるべく演出の意図は尊重されるべきであり、できればコンテと演出を兼任させるのが望ましい。監督が演出に介入するのは避けるべきだが、第1話や第2話など序盤の回で自ら演出を手がけることにより、作品のイメージを伝えるのに有効な場合もある。シャフトではアフレコの前と後の計2回にわたって修正を行なうという、劇場向け作品並みに手間のかかる作業をやっている…など、具体的なノウハウについても色々と語られており、実際の制作に興味ある者にとっては面白い話題なんだろうけど、ちょっと専門的すぎるかなという気も。

カーニバル・ファンタズムの監督は岸誠二だそうで。どちらかといえば瀬戸の花嫁とかサンレッドのように、ヲタの嗜好ど真ん中からは少しズレた地味な作品こそが得意分野というイメージ(←ど真ん中を狙うと、GAる~んのような暴投になる。ABに関しては、よくも悪くも脚本と宣伝の影響が色濃いという解釈)だったので、「原作をプレイした上で制作にあたる」という発言は意外だった。

ユニコーンの記事によると、福井は現時点での売り上げに満足していないとの事。さすがに「ファースト世代の90%が実際にガンダムの洗礼を受けていると仮定すれば、潜在的な需要は500万」という皮算用はポーズであって本気に受け取るべきではないと思うが、まだ掘り起こせていない需要が眠っていると考えるのは強気だな。俺としては現時点(第2巻)が人気のピークで、あとは右肩下がりをどれだけ食い止められるかの厳しい撤退戦が続くんじゃないか…という悲観的な見方なんだけどね。
「アニオタの大半はBDへのシフトを済ませているはず。ユニコーンの売り上げ枚数がBDとDVDでおよそ半々だったのは、普段アニメソフトを買わない層が購入したことの顕れ」という分析は、まぁ間違ってないか。

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