月曜日, 6月 21

ドルアーガの塔 FLOOR.6

【FLOOR.6】
モンスターミラーナイト(技量ポイント:9、体力ポイント:6)※
宝物①金の魔術書(ドルアーガを倒す呪文についてのヒント)
②メタセコイアの葉
 (デミヒューマンの怪我やステータス異常を治す?)
③ウイングブーツ(攻撃力と防御力が1ポイントずつ増加)
出現方法①②マジックロックを解いて、南東の部屋に入る
③北東の部屋に入る

※不意打ち攻撃を行なう

原作でミラーナイトの特性をもっとも分かりやすく示すのが、ジェットブーツ装備のギルと同じ速さで動き回る点。本作では、これら2つの要素を同じ階に置くことで、対比を明確にしようというコンセプトと思われる。
本作におけるミラーナイトの登場は、原作が16階で初登場するのに比べると、かなりの前倒しだと言える。原作では(タイミングさえ合わせれば)初期装備のままでも倒せるほど弱いのだが、本作の場合はキツい…この時点でのギルの戦力は、ウイングブーツ装備前で15、装備後でも17であり、対するミラーナイトは18と、やや不利。しかも不意打ちを食らう状況設定であり、ましてや5階でサーベルタイガー相手に激闘を繰り広げた後とあっては、なかなか厳しいだろう。
5階までは「とりあえず、ここまではお試し無料サービス」という感じで、よほど無茶をしない限り死ぬことは無かったものの、6階以降は難易度が上昇し、いよいよ本気で殺しにかかってくるという印象だな。

しかし打つ手が無いわけではない。この階のマップは、3ブロック四方の部屋4つを均等に配置して通路でつないだデザインとなっており、お好みの部屋だけを好きな順番で廻ることも可能なのである。
つまり強敵であるミラーナイトとの戦いを避け、アイテムだけ手に入れてサッサとクリアしてしまえばいいのだ。
苦労して倒しても、経験値を除いて得るものは無いし、その経験値も、8階でゴースト相手に連戦するほうが楽に(しかも、より多く)稼ぐことができるんだよね…これは作者の意図したことなのだろうか?

難易度の上昇に対応するように、この先ほとんどの階では食事を摂ることができるようになっている。
ところどころで差し挟まれる塔外の景色の描写から考えると、18階の宿屋へ辿り着くまでに丸2日を費しているはずだが、いったいそれまでに何度の食事を摂ることになるのやら…(笑)。おまけに9階ではミツユビオニトカゲ、レストランではテローダスのムニエルまで食わなきゃならないという。
ちなみにシステム面でドルアーガ3部作よりも古い「ソーサリー」であるが、食事に関するルールでは本作よりもリアル(もしくは厳密)だったな。同じ日のうちに2回以上の食事をしても、あまり体力が回復しないとか、逆に食事や睡眠を抜くとダメージを受けるとか。もし本作もこの方式だったとしたら、さらに生存率は厳しいことになっていただろう。

さて次は、メスロンの研究室について。

この部屋のマジックロックを開くために、いよいよ初めて魔法の呪文を使うことになる。
本作における(←といっても、ほとんど他のゲームブックを知らないんだけどさ)魔法は、呪文スペルが独自の法則性に基づいて作られており、いかにも妖しげな語感を伴っている点、最初は不明だった効果が、実際に使ったり情報を集めるうちに次第に明らかにされていく点、実際の効果も、見た目ハデなものより地味なものが多い点など、いかにも“本格派”の雰囲気を漂わせている。(敢えて近い作品を挙げれば「ギア・アンティーク」だろうか?)
惜しむらくは第2巻以降、このような初期のイメージにそぐわない、(悪い意味で)システマティックな部分が増えてしまったこと。第2巻あとがきにも「フツーのゲームブック」に近いと書かれているが、個人的には(戦闘のたびに、コマンドで選択した呪文を応酬するような)そこいらのCRPGで見飽きたような形式に収まってしまったことが、やや不満だったり…もっとも初プレイ当時はPCどころか、ファミコンのRPGすら触ったことも無かったんだけどねー(笑)。
つかみ所のない呪文名だからこそ、何とか法則性を見出だせないかと頭をひねったのだが、何しろサンプル数が少ないので簡単には行かない。

MAURUドルアーガの魅了の術にかかった者を、正気に戻す
MUALA体力を25ポイント失う
MUARUマジックバリヤー
NUARAマジックロックされた扉を開く
NUALAゴーストの技量ポイントを1下げる


基本パターンは

子音(MまたはN)
 +
母音(MAURUを除いて原則的にUA)
 +
子音(LまたはR)
 +
母音(AまたはU)


なんだけど、第1巻の時点で判別できた(ように思えた)のは、「4文字目がLの呪文は使っちゃダメ」ぐらい。これを踏まえて第2巻では、黒竜の牙を買わずに済んだ(←発動させる呪文がNASLUだったので)ものの、NAZLEを警戒して使わなかったせいで、ロックデーモン戦がムダに長引くという失敗を犯してしまった。
第2巻で登場したサンプルを加えて、新たに思い立った仮説が「1文字目がMの呪文は、Nの呪文に比べて強力であり、体力の消耗も激しい」というもの。MIRRAMAGNOは体力を6ポイント消費するのに対し、NARRONAZLEは4ポイントどまりで、MUALAについては言わずもがな…とはいえMAURUや、第3巻のMEHIOは当てはまりそうにないし、とどめにFANTZなんて投げやりな名前の呪文まで登場するに至っては、もう真面目に分析するのがバカバカしくなった(笑)。

リメイク版における修正箇所の一つが、この呪文の選択肢である。正解(NUARA)と大ハズレ(MUALA)を除いて2つの選択肢があるという点では同じだけど、旧版では存在しない呪文が列記されているのに対し、リメイク版では別の用途の呪文(MUARUNUALA)に差し替えられている。
ソーサリーでは、存在しない呪文を誤って選択すると、体力を5ポイントも失うという手痛いペナルティを課せられた(←特にシリーズ前半では、この種の選択肢を多用することで、ただでさえ少ないパラグラフ数を水増ししていたのが腹立たしい)わけだが、本作ではペナルティにもバラつきがあり、体力を失わずに済む場合があったり、失うポイントも大小さまざまだったりする。
純粋に個人的な好みの問題だけど、この件に関してはリメイク版より旧版のほうが良かったな。マジックバリヤーはゴースト戦で初めて使ったから新鮮な驚きがあったのに、こんな関係ない場所で先行ネタバレを食らってしまったら、ワクワク感が半減してしまうじゃん。

研究室で手に入る2つのアイテムおよびメスロンの遺したメモについては、「連行して行った奴らに見咎められなかったのだろうか?」という若干の疑問があるものの、FANTZのような幻術でも使って気を逸らせたのだろう…と、脳内補完。
メタセコイアの葉を持ってくるよう頼んだのは、連行された後で自分の身に何らかの危害が加えられることを想定したから? まぁ実際には、無傷のまま呑気に過ごしていたようだが(笑)。しかしその後で頭を思いきり殴られて記憶喪失になるとは、本人も予想していなかったに違いない。
葉の効能については当時、アドベンチャラーズ・イン(←創元ゲームブックに付属していたファン向け小冊子)に推測が掲載されていたっけ。確かにメスロンがエルフだと仮定すれば、ドワーフのタウルスと仲が悪いのも納得できる…となると、問題は血縁関係か。「パンタクル」の挿絵を見たかぎり、弟王子の耳は尖っていないようなので、考えられる可能性としては

①人間であるセフィロト王が、エルフの妻を娶った。弟王子は父方の血が、メスロンには母方の血が強く顕れた。
②シャンバラー王家は一夫多妻制。弟王子が正妻(人間)の子なのに対し、メスロンは妾(エルフ)腹。


とくに②だと、(黒魔術の実験なんてしてなくても)追放される理由になりそうではあるな。

ゲームに話を戻すと、メタセコイアの葉が役立つ場面は2ヶ所だけ…タウルスの怪我を治す時と、メスロンの記憶回復フラグを立てる時である。前者は33階の罠にかからなければ必要ないものの、後者を怠ってしまうと、終盤で何の脈絡もなくメスロンの記憶が戻ることになる(←ゲームの進行上は問題ないものの、ストーリー的に唐突な印象になってしまう)ため、なるべくなら避けたいところ。
まぁメタセコイアの葉だけなら、第3巻でマンドラゴラから購入することもできるので、仮に降伏して身ぐるみ剥がされたとしてもノープロブレム。
ただし金の魔術書については、それほど簡単な話ではない。旧版では全く出番がなく、せいぜい12階から脱出する際の(分かりにくい)ヒントと、18階の宿屋で売り払うぐらいしか使い道はないのだが、リメイク版においては、合流直後のメスロンとの会話で、“ドルアーガを倒す呪文の手がかり”という重要な伏線が張られており、所持しているか否かで第3巻の展開にも影響が出る可能性を捨てきれない以上、うかつに失くしてしまうわけには行かないのだ。

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