月曜日, 1月 4

夏目友人帳 第9巻

先日の思想地図と今日のぱふ立ち読みの代償として、O書店で購入。

最初の前後編については、さすがに擁護は不可能。既出の話のパーツを継ぎ接ぎして焼き直しただけのパッチワークで、全く新味ナシ。敢えて良かった探しをするなら、夏目が真っ当な理屈で妖かしをやり込めて危機的状況を脱したことぐらいか? 「先生が本気出して終了」というパターンにはいいかげん飽きたので、たまには他の手を使ってもらわないとね。
あと、中級の名前は最後まで「中級」で貫き通すのがいいと思う(笑)。「北斗の子分」みたいな感じで、これはこれでネタになるし(やるとすれば「夏目観察帳」か)。

ストーリーのバリエーションが乏しい事はとっくに明らかなんだから、そろそろ覚悟を決めて本筋の新たな展開──的場にどう対処するか?──を描くべき…と思っていたら、ようやく後半掲載の連続編で話が進んだか。まぁ「ようやく導入部が終わった」という程度だろうけど。しかし上述のように、危機脱出パターンが「先生本気」ばかり(←こういう長編や単行本を一気読みすると、余計にそう感じられる)という点からしても、この作者には本格的かつ大規模なバトル物なんて描けそうにない(まぁ読者のほうも、そういう展開を望んでいるかどうか微妙だし)ので、別の方法で収拾つけようとするんだろうけど、何にせよ不必要に話を引き伸ばすのだけはカンベン願いたい…現に今、そういう方向に進んでいるようにも見えるし。

最後に蛇足。はさまっていたチラシに描かれた女の子が可愛くて思わず目を惹かれたが、とっくの昔にチェック済みの「赤髪の白雪姫」だった。最初の出会いは確か「ぱふ」の新刊コーナーで、一目で女の子の可愛さが気に入って掲載誌を立ち読みしたんだけど、この作者ってキャラデザは一級品なのに、ストーリーがそれに釣り合う面白さじゃないんだよね…じつに惜しい。作画とストーリーを両立させている作者なんてなかなか見つからないから仕方ないけど、あれから少しは上達したんだろうか? 別の作品も手がけたようなのでチェックしてみたら、どうやら主要キャラは全員が男らしいし(落胆)。



追記:
こんなに面白くなかったっけ?と疑問を感じて、第7巻と第8巻を読み直してみた…文句なしに面白い。そこで改めて第9巻も読んでみると、初めて読んだ時に思ったほど酷くはないような気がしてきた。
では何が問題なのか? まず間違いないのは、話がムダに長いという事。また「夏目が他者と交流することで育まれる絆」というのが、この作品のベースとなるテーマ(あるいは長所)のはずなのに、今回は「聞く耳を持たないキャラが登場し、けっきょく分かり合えないまま終わる(=先生が介入して強制終了)」というパターンが連続した事も、ストレスを感じる原因だな。物別れに終わってしまったカイ編のようなケースでも、分かり合えなかったことに対する悲しさや悔いが余韻となっていい味を出していたわけだが、今回はそういう話でもないし。
まぁ的場に関してはまだ因縁が続く以上、今回のエピソードが後の展開に生きてくるかも知れないから、評価するのは早計に過ぎるだろうけど。

0 件のコメント: